【化学基礎】半減期の問題が”解ける”~図解あり~

「放射性同位体」、「半減期」って何?

同位体には、放射性同位体というものが存在します。この同位体には半減期というものがあり、それを使うと植物や動物の年代測定を行うことができます。今回は、放射性同位体について、半減期も含めて演習問題を通して解説していきます!

本記事は以下のような人におすすめです。

  • 放射性同位体(ラジオアイソトープ)について知りたい。
  • 半減期を使った年代測定の問題を解けるようになりたい。
目次

問題

同位体には、原子核が不安定なものがあり、(ア)線を放出して、他の元素の原子に変わる。このような同位体を(イ)という。(ア)線には、(ウ)の原子核の流れである\(\alpha\)線や(エ)の流れである\(\beta\)線、高エネルギーの電磁波である\(\gamma\)線などがある。
(1) 文中の(  )に適当な語句を入れよ。
(2) 原子が(ア)線を放出して他の元素の原子に変わることを何というか。
(3) 炭素の同位体\(\mathrm{^{14}_{\; 6}C}\)は、\(\beta\)線を放出して他の元素の原子に変化する。このとき生じる他の原子はなにか。\(\mathrm{^{14}_{\; 6}C}\)と同様に示せ。
(4) ある遺跡から発掘された木片を調べると、\(\mathrm{^{14}_{\; 6}C}\)の量がもとの\(\displaystyle\frac{1}{8}\)であった。\(\mathrm{^{14}_{\; 6}C}\)の半減期を5730年とすると、この木片は何年前まで生存していたと考えられるか。整数値で答えよ。

2020セミナー化学基礎 | 第一学習社
略解

(1) (ア)放射、(イ)放射性同位体(ラジオアイソトープ)、(ウ)ヘリウム、(エ)電子
(2) 壊変(崩壊)
(3) \(\mathrm{^{14}_{\; 7}N}\)
(4) 17190年前

テキスト

まずはじめに、放射性同位体について説明します。

放射性同位体(ラジオアイソトープ)

放射性同位体放射線と呼ばれる粒子やエネルギーを放出して、他の原子に変わる同位体。

放射線の種類は、\(\alpha\)線、\(\beta\)線、\(\gamma\)線、中性子線の4つがあります。それぞれの実体と放射線の電荷、透過力を以下の表に示します。

放射線実体電荷透過力
\(\alpha\)線\(\mathrm{^{4}_{2}He}\)の原子核
\(\beta\)線電子
\(\gamma\)線電磁波なし
中性子線中性子なし
放射線の種類と性質

次に、壊変とは何かを確認しましょう。

壊変(崩壊)

放射性同位体の原子核は非常に不安定です。そのため、放射能を放出して他の元素に変化します。
この変化のことを壊変(崩壊)といいます。
例えば、\(\mathrm{^{235}_{\; 92}U}\)は\(\alpha\)線と\(\mathrm{^{4}_{2}He}\)を放出して\(\mathrm{^{231}_{\; 90}Th}\)に変化します。このとき、\(\alpha\)線を放出して変化しているので、α壊変と言います。

これらの知識を踏まえて、年代測定がどのように行われているのかを確認し、その解法も抑えましょう。

放射性同位体の利用:年代測定

大気中では次の2つの反応が起こっています。

\(\mathrm{^{14}_{\;7}N + ^{1}_{0}n}\) \(\longrightarrow\) \(\mathrm{^{14}_{\;6}C + ^{1}_{1}p(陽子)} \) \(\quad(1)\)

\(\mathrm{^{14}_{\;6}C} \rightarrow \mathrm{^{14}_{\;7}N + e^{-}}(\beta線) \quad (2) \)

(1)は、宇宙から飛来する放射線によって、\(\mathrm{^{14}_{\;7}N}\)から\(\mathrm{^{14}_{\;6}C}\)が生成する反応です。
(2)は、\(\mathrm{^{14}_{\;6}C}\)が\(\beta\)線を放出して\(\mathrm{^{14}_{\;7}N}\)に戻る反応です。

植物は、一定の割合で\(\mathrm{^{14}_{\;6}C}\)を含む\(\mathrm{CO_2}\)を取り入れて光合成をしています。
しかし、枯死したり伐採された植物は光合成を行わないため、植物内の\(\mathrm{^{14}_{\;6}C}\)は\(\beta\)壊変を起こし\(\mathrm{^{14}_{\;7}N}\)に変化していきます。
すると、植物内の\(\mathrm{^{14}_{\;6}C}\)は枯死、伐採から時期が経てば経つほど減少していきます。
また、植物が元々持っていた\(\mathrm{^{14}_{\;6}C}\)の量が半分になるまでにかかる期間を半減期といいます。

解説

同位体には、原子核が不安定なものがあり、(ア)線を放出して、他の元素の原子に変わる。このような同位体を(イ)という。(ア)線には、(ウ)の原子核の流れである\(\alpha\)線や(エ)の流れである\(\beta\)線、高エネルギーの電磁波である\(\gamma\)線などがある。
(1) 文中の(  )に適当な語句を入れよ。
(2) 原子が(ア)線を放出して他の元素の原子に変わることを何というか。
(3) 炭素の同位体\(\mathrm{^{14}_{\; 6}C}\)は、\(\beta\)線を放出して他の元素の原子に変化する。このとき生じる他の原子はなにか。\(\mathrm{^{14}_{\; 6}C}\)と同様に示せ。
(4) ある遺跡から発掘された木片を調べると、\(\mathrm{^{14}_{\; 6}C}\)の量がもとの\(\displaystyle\frac{1}{8}\)であった。\(\mathrm{^{14}_{\; 6}C}\)の半減期を5730年とすると、この木片は何年前まで生存していたと考えられるか。整数値で答えよ。

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(1) 文中の(  )に適当な語句を入れよ。

同位体には、原子核が不安定なものがあり、(放射)線を放出して、他の元素の原子に変わる。このような同位体を(放射性同位体(ラジオアイソトープ))という。(放射)線には、(ヘリウム)の原子核の流れである\(\alpha\)線や(電子)の流れである\(\beta\)線、高エネルギーの電磁波である\(\gamma\)線などがある。

A. (ア)放射、(イ)放射性同位体(ラジオアイソトープ)、(ウ)ヘリウム、(エ)電子

(2) 原子が(ア)線を放出して他の元素の原子に変わることを何というか。

A. 壊変(崩壊)

(3) 炭素の同位体\(\mathrm{^{14}_{\; 6}C}\)は、\(\beta\)線を放出して他の元素の原子に変化する。このとき生じる他の原子はなにか。\(\mathrm{^{14}_{\; 6}C}\)と同様に示せ。

A. \(\mathrm{^{14}_{\;7}N}\)

(4) ある遺跡から発掘された木片を調べると、\(\mathrm{^{14}_{\; 6}C}\)の量がもとの\(\displaystyle\frac{1}{8}\)であった。\(\mathrm{^{14}_{\; 6}C}\)の半減期を5730年とすると、この木片は何年前まで生存していたと考えられるか。整数値で答えよ。

\(\displaystyle\frac{1}{8}=\displaystyle\frac{1}{2} \times \displaystyle\frac{1}{2} \times \displaystyle\frac{1}{2}\)となります。
つまり、半減期を3回むかえているということです。半減期は5730年なので木片が生存していた年代は
\( 5730 \times 3 = 17190\)

A. 17190年前

まとめ

放射性同位体について、半減期も含めて解説してきました。

本記事の重要事項を下記にまとめました。復習に役立ててください!

  • 放射性同位体(ラジオアイソトープ)について
  • 壊変(崩壊)について
  • 放射性同位体の利用:年代測定

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