【化学基礎】混合物の分離法問題が”解ける”~図解あり~

混合物の分離法って何種類あるの?

物質の種類と性質の関係を正しく調べるには、混合物からその成分である純物質を取り出す必要があります。

この操作のことを分離といいます。

分離操作は大きく分けて6種類(ろ過、再結晶、蒸留、抽出、昇華法、クロマトグラフィー)あります。今回は、その6種類について、演習問題を通して解説していきます!

本記事は以下のような人におすすめです。

  • 分離操作(ろ過、再結晶、蒸留、抽出、昇華法、クロマトグラフィー)を確認したい。

本記事を読んで、物質の分離操作を攻略しましょう。

目次

問題1:ろ過

ろ過の方法で最も適当なものを次の(ア)~(エ)のうちから選べ。

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略解

(ウ)

テキスト1:ろ過

ろ過

ろ過:液体とその液体に溶けない固体の物質の混合物を、ろ紙などを用いて分離する操作。

ろ過は、左のような装置を用いて行います。ろ過を行う際に注意することは3つです。

(a) ガラス棒を伝わせて入れる。
(b) ろ紙を水でぬらして、ろうとに密着させる。
(c) ろうとの先をビーカーの内壁につける。

解説1

ろ過の方法で最も適当なものを次の(ア)~(エ)のうちから選べ。

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(ア) ろうとの先が内壁についていない、ガラス棒を伝わせていないため不適切です。
(イ) ガラス棒を伝わせていないため不適切です。
(エ) ろうとの先が内壁についていないため不適切です。
(ウ)は、漏斗の先が内壁についていて、ガラス棒を伝わえているため適切であると言えます。

A. (ウ)

問題2:蒸留

図は、塩化ナトリウム水溶液を蒸留するための実験装置である。次の各問いに答えよ。
(1) 図中の(ア)~(オ)の器具の名称を記せ。
(2) 冷却水はどちら側から流し入れるか。AまたはBの記号で答えよ。
(3)器具(イ)の底には沸騰石が加えてある。加える理由を10字程度で記せ。
(4) 器具(ア)の下端を器具(イ)のえだの付け根の高さの位置にさせる理由を簡潔に述べよ。

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略解

(1) (ア)温度計、(イ)枝付きフラスコ、(ウ)ガスバーナー、(エ)リービッヒ冷却器、(オ) 三角フラスコ
(2) B
(3) 突沸を防ぐため。
(4) 冷却器に向かう蒸気の温度を測るため。

テキスト2:蒸留

蒸留

蒸留:2種類以上の物質を含む液体を加熱して沸騰させ、生じた蒸気を冷却して液体にすることにより、蒸発しやすい成分を、蒸発しにくい成分から分離する操作。

蒸留の装置は左図のようなものです。
蒸留の注意点も3つあります。
(a) 蒸気の温度を図るため、温度計の球部はフラスコの枝の付け根の高さにする。
(b) 枝付きフラスコの中には、急激な沸騰(突沸)を防ぐために沸騰石が入っている。
(c) 冷却水は図の矢印のように、下から注入して上から抜けるようにする。

かんた

冷却水を下から上に注入する理由は、リービッヒ冷却器の中を常に冷却水で満たすためです。上から下に流すと、水はリービッヒ冷却器の中に一生溜まらなくなってしまいます。

解説2

図は、塩化ナトリウム水溶液を蒸留するための実験装置である。次の各問いに答えよ。
(1) 図中の(ア)~(オ)の器具の名称を記せ。
(2) 冷却水はどちら側から流し入れるか。AまたはBの記号で答えよ。
(3)器具(イ)の底には沸騰石が加えてある。加える理由を10字程度で記せ。
(4) 器具(ア)の下端を器具(イ)のえだの付け根の高さの位置にさせる理由を簡潔に述べよ。

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(1) 図中の(ア)~(オ)の器具の名称を記せ。

それぞれの名称をテキスト2の図より確認してください。特に、リービッヒ冷却器は問われることが多いので覚えておくと良いでしょう。

A. (ア)温度計、(イ)枝付きフラスコ、(ウ)ガスバーナー、(エ)リービッヒ冷却器、(オ) 三角フラスコ

(2) 冷却水はどちら側から流し入れるか。AまたはBの記号で答えよ。

冷却水は下から注入して上から排出するので、流し入れる方はBです。

A. B

(3)器具(イ)の底には沸騰石が加えてある。加える理由を10字程度で記せ。

沸騰石は急激な沸騰(突沸)を防ぐために入れられています。

A. 突沸を防ぐため。

(4) 器具(ア)の下端を器具(イ)のえだの付け根の高さの位置にさせる理由を簡潔に述べよ。

蒸留は蒸発しやすい成分と、しにくい成分を分離する操作です。よって蒸気の温度が重要なパラメーターとなるため、温度計で測るのは蒸気の温度です。

A. 冷却器に向かう蒸気の温度を測るため。

問題3:昇華法

ガラスの破片が混じったヨウ素から、ヨウ素の昇華性を利用して、できるだけ多くのヨウ素を集めたい。最も適当な分離法を、次の①~④のうちから1つ選べ。

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略解

テキスト3:昇華法

昇華法

昇華:固体が直接期待になる変化。(固体→気体→固体の一連の変化も昇華と呼ぶ。)

昇華法は主に2ステップで行われます。

STEP
混合物を加熱すると、昇華性のある物質のみが昇華し気体となる。
STEP
昇華した物質が冷水の入ったフラスコの底面で再び固体として析出する。

例えば、
昇華しやすい性質を持つヨウ素やナフタレンは、ガスバーナーで加熱すると昇華して気体になります。
その気体が冷水の入ったフラスコに触れると、冷やされて再び昇華して固体に戻ります。(気体→固体も昇華という)
よって、フラスコの底面に付着したものを採取すれば、昇華しやすい性質を持つ物質を分離できます。

解説3

ガラスの破片が混じったヨウ素から、ヨウ素の昇華性を利用して、できるだけ多くのヨウ素を集めたい。最も適当な分離法を、次の①~④のうちから1つ選べ。

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①は冷却水がないため不適切です。
③と④はそもそも加熱されていないため、昇華性を示す物質を分離することはできません。

かんた

ヨウ素は昇華性を示すが、ガラスは昇華性を示さないため分離が可能です。

A. ②

問題4:抽出

ヨウ素とヨウ化カリウムとの混合溶液(ヨウ素液)がある。この混合溶液をガラス器具Aに入れ、さらにヘキサンを加えてよく振ったのち静置すると、図のように液体が2層に分かれた。このとき、上層(ア)は赤紫色になっていた。
(1) この分離法の名称を記せ。
(2) ガラス器具Aの名称を記せ。
(3) ヘキサン層は、図中の(ア)、(イ)のいずれか。

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略解

(1) 抽出
(2) 分液ろうと
(3) (ア)

テキスト4:抽出

抽出

抽出:溶媒を用いて、目的とする物質を固体や液体の中から分離する操作。
抽出には、分液ろうとがよく用いられます。
分液ろうとは、溶媒への溶解のしやすさの違いを利用して物質を分離する手法です。よって、溶媒に溶けやすいものが溶媒層に存在することになります。
溶媒に物質が溶けると、変色などの何らかの変化があるので、それに着目することが大切です。

解説4

ヨウ素とヨウ化カリウムとの混合溶液(ヨウ素液)がある。この混合溶液をガラス器具Aに入れ、さらにヘキサンを加えてよく振ったのち静置すると、図のように液体が2層に分かれた。このとき、上層(ア)は赤紫色になっていた。
(1) この分離法の名称を記せ。
(2) ガラス器具Aの名称を記せ。
(3) ヘキサン層は、図中の(ア)、(イ)のいずれか。

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(1) この分離法の名称を記せ。

ヘキサン(溶媒)への溶けやすさによって混合水溶液を分離しているので、抽出です。

A. 抽出

(2) ガラス器具Aの名称を記せ。

A. 分液ろうと(分液漏斗)

(3) ヘキサン層は、図中の(ア)、(イ)のいずれか。

ヨウ素は、水に溶けにくくヘキサンに溶けやすい、という性質を持ちます。
ヨウ素を含むヨウ化カリウム水溶液(ヨウ素液)にヘキサンを加えて振り混ぜると、ヨウ素がヘキサン層に移動してヘキサン層が赤紫色になります。よって、(ア)の赤紫色の層がヘキサン層になります。

A. (ア)

その他の分離法

その他の分離法

(1) 再結晶
不純物を含む固体を溶媒に溶かし、温度によって溶解度が異なることを利用して、より純粋な物質を析出させ分離する方法を再結晶といいます。

(2) クロマトグラフィー
溶媒に溶かした物質がろ紙やシリカゲルなどの吸着剤の上を移動(展開)する際に、物質による吸着力の違いで、移動速度が異なります。これを利用した分離法を、クロマトグラフィーといいます。
クロマトグラフィーは吸着剤に何を用いるかで呼び方が異なります。

名称吸着剤
ペーパークロマトグラフィーろ紙
カラムクロマトグラフィーシリカゲルなどをカラムに詰めて用いる
薄層クロマトグラフィー吸着剤を硝子板等の上に薄くのばしたもの
クロマトグラフィーの種類

また、クロマトグラフィーに用いられる溶媒のことを展開溶媒と言います。

まとめ

混合物の分離法について解説してきました。

本記事の重要事項を下記にまとめました。復習に役立ててください!

  • ろ過について
  • 蒸留について
  • 昇華法について
  • 抽出について
  • その他の分離法について

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