【無機化学】水素の性質が”わかる”~図式あり~

非金属元素としての水素

水素は、非金属元素の中でも極めて重要な元素の1つです。周期表の一番左上、1族の第1周期に位置する元素です。
その性質について、図や式を用いながらわかりやすく解説します。また演習問題も用いて解説していきます。

本記事は以下のような人におすすめです!

  • 水素の性質を確認したい。

それでは、始めましょう!

目次

問題:水素

次の記述のうち、誤っているものを1つ選べ。

① 水素は、すべての気体のうちで最も軽く、水によく溶ける。
② 水素は、還元作用を示し、加熱した酸化銅(Ⅱ)と反応して銅を生じる。
③ 水素は、酸素とともに燃料電池に用いられる。
④ 亜鉛に希硫酸を加えると、水素が発生する。

2021セミナー化学 | 第一学習社
略解

テキスト:水素

まず、水素\(\mathrm{H}\)がどのような非金属元素であるか説明します。

水素は、宇宙で最も多く存在している元素で、水\(\mathrm{H_2O}\)や有機化合物の構成元素であり、自然界に多く分布していることが特徴としてあげられます。

水素の製法

水素の製法

実験室では、亜鉛や鉄に希硫酸、希塩酸などの酸を加えて発生させて得ます。

水素は水に溶けにくいという性質があるので、右図のような水上置換法で採集します。

\(\mathrm{Zn + H_2SO_4 \rightarrow ZnSO_4 +H_2 \uparrow} \qquad (1) \)

また、水素はメタン\(\mathrm{CH_4}\)を高温の水蒸気と反応させることでも得ることができます。

\(\mathrm{CH_4 + H_2O \rightarrow CO + 3H_2 \uparrow} \qquad (2) \)

水素の性質

水素の性質

まず、水素の基本的な性質についてです。

融点 [℃]-259
沸点 [℃]-253
色/におい無色/無臭
密度 [g/L]0.0899
表1 水素\(\mathrm{H_2}\)の性質

水素の性質(データ)は表1のようになっています。
(※)0℃、1.013 Paでの値

  • 状態:気体
  • 常温では無色無臭
  • すべての気体の中で最も密度が小さい
  • 水に溶けにくい
  • 空気中で点火すると炎を上げて燃える

また単体\(\mathrm{H_2}\)は二原子分子です。

水素の反応は主に2つあります。

1. 水素と酸素の混合気体に点火すると、爆発的に化合して水を生成する。

\(\mathrm{2H_2 + O_2 \rightarrow 2H_2O} \qquad (3) \)

2. 高温では還元剤として用いられる。

金属の酸化物を還元することができます。例えば、高温で酸化銅(Ⅱ)\(\mathrm{CuO}\)と反応して、銅\(\mathrm{Cu}\)を生じます。

\(\mathrm{CuO + H_2 \rightarrow Cu + H_2O} \qquad (4) \)

水素の用途

水素の用途

水素は主に2つの用途で使われます。

1. 水素化合物の合成原料となる。

塩化水素\(\mathrm{HCl}\)、アンモニア\(\mathrm{NH_3}\)、有機化合物などの合成原料となります。

2. 燃料電池の活物質として利用されている。

液体燃料式ロケットの燃料としても使われています。

水素化合物

水素と、他の元素との化合物を水素化合物といいます。水素は、貴ガス以外のほぼすべえての元素と水素化合物を作ります。

陽性の強い金属元素とは、水素化物イオン\(\mathrm{H^{-}}\)としてイオン結合をつくり、水素化ナトリウム\(\mathrm{NaH}\)、水素化カルシウム\(\mathrm{CaH_2}\)といった金属水素化物となります。

非金属元素との水素化合物は、共有結合からなる分子が多いです。

解説:水素

次の記述のうち、誤っているものを1つ選べ。

① 水素は、すべての気体のうちで最も軽く、水によく溶ける。
② 水素は、還元作用を示し、加熱した酸化銅(Ⅱ)と反応して銅を生じる。
③ 水素は、酸素とともに燃料電池に用いられる。
④ 亜鉛に希硫酸を加えると、水素が発生する。

2021セミナー化学 | 第一学習社
① 水素は、すべての気体のうちで最も軽く、水によく溶ける

水素は水に溶けにくいです。(採集が水上置換で行えるのは水に溶けにくいからでした。)

② 水素は、還元作用を示し、加熱した酸化銅(Ⅱ)と反応して銅を生じる。

高温下で(4)式が成り立ちます。

③ 水素は、酸素とともに燃料電池に用いられる。

燃料電池の活物質として利用されています。

④ 亜鉛に希硫酸を加えると、水素が発生する。

水素の製法からわかります。(1)式が成り立つことからも説明できます。

A. ①

まとめ

水素の性質について解説しました。

本記事の重要事項を下記にまとめました。復習に役立ててください!

  • 水素の製法について
  • 水素の性質について
  • 水素の用途について
  • 水素化合物について

下記SNSにて、情報発信&質問対応を行っています。
質問については、本サイト内の内容に限らず勉強の相談等なんでもOKです。
本サイト運営者のかんたが直接お答えしております。お気軽にお問い合わせください!
X(旧Twitter)
LINE
Instagram
YouTube

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

質問・コメント

コメントする

CAPTCHA


目次