炎色反応や沈殿反応についてわかりやすく解説!【実践問題付】

構成元素の確認方法ってなに?

悩む人

炎色反応とか沈殿反応ってただの暗記?

このような悩みで手が止まっていませんか?

炎色反応や沈殿反応は語呂合わせでただ覚える「暗記モン」だと思われがちですが、

これらの反応は元素特有であるため構成元素の特定に用いられます。

そこで、今回は

炎色反応や沈殿反応について、実践問題を通してわかりやすく解説していきます!

本記事は以下のような人におすすめです!

  • 構成元素の確認方法がわからない。
  • 炎色反応の問題が解けない。
  • 沈殿反応の問題が解けない。
かんた

この記事を読んで、炎色反応・沈殿反応を用いて構成元素を特定できるようになろう!

目次

問題

炭酸水素ナトリウムを水に溶かし、炎色反応を調べると、黄色の炎が見られた。また、粉末を図のように加熱し、生じた気体を石灰水に通じると白濁した。試験管の管口付近の液体を硫酸銅(Ⅱ)無水塩につけると青くなった。次の各問いに答えよ。

(1) 下線部①~③の結果から確認できる元素は、それぞれ何か。元素記号で記せ。

(2) 試験管口を水平よりも上側に位置させると、どのようなことがおこるか。

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略解

(1) ①:\( \mathrm{Na} \)
  ②:\(\mathrm{C}\)
  ③:\(\mathrm{H}\)
(2) 水が加熱された試験管の底の方へ移動し、試験管を破損する。

テキスト:成分元素の検出

それでは、この問題に必要な知識・ポイントを確認していきましょう。

まず、今回の問題は化合物を分ける問題です。

その分けるためのヒントとして、

  • 「炎色反応で〇〇色を示しました。」
  • 「液体が〇〇色に濁りました。」
  • 「〇〇を加えると〇〇色になりました。」

というような変化が与えられています。

これらの情報でこの問題が解けるということは、これらはそれぞれの元素特有の変化である、ということです。

ということは…

この変化がどの元素に対して起こる反応なのかを押さえれば元素が特定できます。

炎色反応や沈殿反応は特定の元素でのみ起こる反応なので、どの元素でどのような反応が起こるのか確認しましょう。

炎色反応による検出

ではまず、炎色反応から確認します。

炎色反応

まず、炎色反応の定義から確認します。

炎色反応:物質を炎の中に入れたとき、成分元素に特有の発色が見られる現象

炎色反応は下の図のような実験装置で確認します。

試料を付けた白金線をガスバーナーの炎に当てたとき、試料によって炎の色が変化します。

この炎の色の変化のことを炎色反応と言います。

では、炎色反応の原理がわかったところで代表的な変化を確認しましょう。

成分元素元素記号炎色反応
リチウム \(\mathrm{Li}\)
ナトリウム\(\mathrm{Na}\)
カリウム\(\mathrm{K}\)赤紫
カルシウム\(\mathrm{Ca}\)橙赤色
ストロンチウム \(\mathrm{Sr}\)赤(紅)
バリウム\(\mathrm{Ba}\)黄緑
\(\mathrm{Cu}\)青緑
表1 主な成分元素と炎色反応

表1は、それぞれの成分元素とその炎色反応の色を表しています。

つまり、

  • 「炎色反応が青色を示したら銅が含まれる。」
  • 「炎色反応が黄色を示したらナトリウムが含まれる。」

というように、炎色反応の色から含まれる元素(構成元素)を特定することができるのです。

悩む人

でも、こんなにたくさんあったら覚えられない…

かんた

簡単に覚えられる語呂合わせを紹介するよ!

ここまで来たら、何の元素が何色を示すかは覚えるしかないです。

下記に、代表的な語呂合わせを示します。ぜひ、炎色反応の暗記に使ってみてください。

「リアカー無きK村動力借りとうするもくれない。馬力で行こう!」

リアカー(\(\mathrm{Li}\)赤)無き(\(\mathrm{Na}\)黃)K村(\(\mathrm{K}\)紫)動力(\(\mathrm{Cu}\)緑)借りるとう(\(\mathrm{Ca}\)橙)するもくれない(\(\mathrm{Sr}\)紅)。馬力(\(\mathrm{Ba}\)緑)で行こう。

沈殿反応による検出

次に、炎色反応と同じように構成元素の特定に利用できる沈殿反応について解説します。

沈殿反応

まず、沈殿の定義から確認しましょう。

沈殿:化学反応などにより、溶液の中に溶けずに生じる固体のこと。

この沈殿が起きる反応を沈殿反応と言います。

沈殿反応も炎色反応と同様、「〇〇に△△を加えると□□色沈殿が生じる。」といったように、変化が確認できます。

では、代表的な4つの変化を確認しましょう。

元素方法結果
炭素\(\mathrm{C}\)二酸化炭素\(\mathrm{CO_2}\)に変えたのち、石灰水(水酸化カルシウム\(\mathrm{Ca(OH)_2}\)の飽和水溶液)に通じる。白濁する。
(炭酸カルシウム\(\mathrm{CaCO_3}\)が生成)
水素\(\mathrm{H}\)水\(\mathrm{H_2O}\)に変えた後、硫酸銅(Ⅱ)無水塩\(\mathrm{CuSO_4}\)に触れさせる。青色になる。
(硫酸銅(Ⅱ)五水和物\(\mathrm{CuSO_4 \cdot 5H_2O}\)が生成)
塩素\(\mathrm{Cl}\)塩化物イオン\(\mathrm{Cl^-}\)に変え、硝酸銀\(\mathrm{AgNO_3}\)水溶液を加える。白色沈殿が生じる。
(塩化銀\(\mathrm{AgCl}\)が生成)
硫黄S\(\mathrm{S}\)硫化物イオン\(\mathrm{S^{2-}}\)に変え、酢酸塩(Ⅱ)\(\mathrm{(CH_3COO)_2Pb}\)水溶液を加える。黒色沈殿が生じる。
(硫化鉛(Ⅱ)\(\mathrm{PbS}\)が生成)
表2 各元素の沈殿生成/色反応の方法と結果

表2のように、それぞれの元素に対して特定の変化が起きます。

よって、

  • 石灰水を白濁させたら二酸化炭素が含まれる。
  • 液体に硫酸銅無水塩を加えて青色になったら水素が含まれる。

というように、沈殿反応の変化から含まれる元素(構成元素)を特定することができます。

実験操作の注意点

ここまで、構成元素の特定方法について解説しました。

最後に、これらの実験を行う際の実験操作で注意する点があるのでそれについて解説します。

構成元素の確認実験の実験操作

構成元素の確認は下のような実験装置を用いて行います。

この実験操作で注意しなくてはいけないことはただ1つです。

試験管口を水平より上にしてはいけない。

悩む人

なんで試験管口を上にしてはいけないの?

試験管口を水平より上にすると、水が加熱された試験管の底の方へ移動し、試験管を破損してしまいます。

注目するものは…試験管内の液体です。

試験管を水平より上にした場合、下のようなことが起きてしまいます。

  • 試験管の管口が水平より上にくる。
  • 試験管内の液体が試験管の底に移動する。
  • 液体が熱せられ、試験管を破損させる。

このことから、試験管の口は水平より下になくてはいけないのです。

さて、これらを踏まえて実際の問題の解説を確認していきましょう。

解説

炭酸水素ナトリウムを水に溶かし、炎色反応を調べると、黄色の炎が見られた。また、粉末を図のように加熱し、生じた気体を石灰水に通じると白濁した。試験管の管口付近の液体を硫酸銅(Ⅱ)無水塩につけると青くなった。次の各問いに答えよ。

(1) 下線部①~③の結果から確認できる元素は、それぞれ何か。元素記号で記せ。

(2) 試験管口を水平よりも上側に位置させると、どのようなことがおこるか。

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(1) 下線部①~③の結果から確認できる元素は、それぞれ何か。元素記号で記せ。

①炎色反応の色を利用して判断できます。

よって、上記の表1より\( \mathrm{Na} \)は黄色の炎色反応がみられることがわかります。 

A. ①:\( \mathrm{Na} \)

②沈殿の生成や色の変化を伴う反応の問題です。

よって、表2より石灰水を通じると白濁するものは二酸化炭素内の炭素です。 

A. ②:\(\mathrm{C}\)

③沈殿生成や色変化を伴う反応です。
上の表2から、硫酸銅(Ⅱ)無水塩につけると青色になるものは水\(\mathrm{H_2O}\)であるから、含まれる元素は水素\(\mathrm{H}\)である。 

A. ③:\(\mathrm{H}\)

(2) 試験管口を水平よりも上側に位置させると、どのようなことがおこるか。

A. 水が加熱された試験管の底の方へ移動し、試験管を破損する。

まとめ

今回は、炎色反応や沈殿反応について解説しました。

炎色反応や沈殿反応は覚えることも大切ですが、なぜ構成元素の確認に用いることができるのかをしっかり理解しておきましょう。

本記事の重要事項を以下にまとめました。ぜひ復習に役立ててください!

炎色反応:物質を炎の中に入れたとき、成分元素に特有の発色が見られる現象

試験管口を水平より上にしてはいけない。

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