気体の溶解度の問題とは?
気体の溶解度についての問題は、気体が固体とは少し異なる性質を持つことから、理解するのに手こずってしまうことがあります。
そこで、今回は
気体の溶解度の問題が”解ける”
というテーマで、わかりやすく解説していきます。
本記事は以下のような人におすすめです!
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この記事を読んで、気体の溶解度の理解度をアップしましょう!
問題
水素は、0℃、\(1.0 \times 10^{5}\)Paで、1Lの水に22mL溶ける。次の問いに答えよ。
(1) 0℃、\(5.0 \times 10^5\)Paで、1Lの水に溶ける水素は何molか。
(2) 0℃、\(5.0 \times 10^5\)Paで、1Lの水に溶ける水素の体積は、その圧力下で何mLか。
(3) 水素と酸素が1:3の物質量の比で混合された気体を1Lの水に接触させて、0℃、\(1.0\times10^6\)Paに保ったとき、水素は何mol溶けるか。
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略解
(1) \(1.0 \times 10^{-3}\)mol
(2) 22mL
(3) \(2.5\times 10^{-3}\)mol
ポイント
この問題での重要ポイントは大きく分けて3つです。
- 気体の溶解度は、モル体積\(\mathrm{22.4 \, [L/mol]}\)で割ると物質量になる。
- 圧力のみが異なる場合、ヘンリーの法則を適用する。
- 体積が関係するときは、気体の状態方程式を使う。
では、問題における意識するポイントを説明します。
まず、問題文の前提条件を確認しましょう。
今回は、
「水素は、0℃、\(1.0 \times 10^{5}\)Paで、1Lの水に22mL溶ける。」
という、気体の溶解度に関する前提条件が与えられています。
ここで、重要ポイント①を用いて、溶解している気体の物質量が求まることを把握しましょう。
次に、小問ごとに意識するポイントを説明します。
- (1) 0℃、\(5.0 \times 10^5\)Paで、1Lの水に溶ける水素は何molか。
-
前提条件から、\(\mathrm{0℃、1.0 \times 10^5 \, Pa}におけて溶けている気体の物質量がわかっています。
また、今回は圧力のみが異なる場合です。
よって、重要ポイント②を用いて、ヘンリーの法則から題意の状況での溶けている水素の物質量を求めます。
- (2) 0℃、\(5.0 \times 10^5\)Paで、1Lの水に溶ける水素の体積は、その圧力下で何mLか。
-
さて、今回は体積が関係しています。
そこで、重要ポイント③を用いて、気体の状態方程式に当てはめて考えます。
- (3) 水素と酸素が1:3の物質量の比で混合された気体を1Lの水に接触させて、0℃、\(1.0\times10^6\)Paに保ったとき、水素は何mol溶けるか。
-
まず、混合気体であることに注意して水素の分圧を求めます。
また、(1)同様、圧力のみが異なる場合です。
よって、重要ポイント②を用いて、ヘンリーの法則から分圧の状態で溶けている水素の物質量を求めます。
解説
水素は、0℃、\(1.0 \times 10^{5}\)Paで、1Lの水に22mL溶ける。次の問いに答えよ。
(1) 0℃、\(5.0 \times 10^5\)Paで、1Lの水に溶ける水素は何molか。
(2) 0℃、\(5.0 \times 10^5\)Paで、1Lの水に溶ける水素の体積は、その圧力下で何mLか。
(3) 水素と酸素が1:3の物質量の比で混合された気体を1L飲みずに接触させて、0℃、\(1.0\times10^6\)Paに保ったとき、水素は何mol溶けるか。
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- (1) 0℃、\(5.0 \times 10^5\)Paで、1Lの水に溶ける水素は何molか。
-
求める物質量を\(c\)molとする。
0℃、\(1.0 \times 10^5\)Paで溶ける水素の物質量は、\(\displaystyle\frac{2.2\times10^{-2}\mathrm{L}}{22.4\mathrm{L/mol}}=9.82\times10^{-4}\mathrm{mol}\)
ヘンリーの法則より、気体の溶解度は圧力に比例するので、
\(1.0\times10^5:5.0\times10^5=9.82\times10^{-4}:c\)
\(\Leftrightarrow c=9.82 \times 10^{-4} \times \displaystyle \frac{5.0\times10^5}{1.0\times 10^5}\)
\( c=4.91\times 10^{-3}\)mol
A. \( \mathrm{4.9 \times 10^{-3} \, [mol]} \)
- (2) 0℃、\(5.0 \times 10^5\)Paで、1Lの水に溶ける水素の体積は、その圧力下で何mLか。
-
求める体積を\(V\)mLとすると、気体の状態方程式\(\mathrm{PV=nRT}\)から\(V\)を求める。
\(V=\displaystyle\frac{4.91\times10^{-3}\times 8.3\times 10^{-3} \times 273}{5.0 \times 10^5}\)
\( \quad = 2.2\times 10^{-2} \, \mathrm{[L]}\)A. \( \mathrm{22 \, [mL]} \)
ポイント:22mLは偶然?(2)の答えは、0℃、\(1.0\times 10^5 \mathrm{Pa}\)(初期条件)で1L飲みずに溶ける量22mLと一致している。
問題文と(2)の条件を比較すると理由がわかりやすい。
問) 1L、0℃、\(1.0\times 10^5 \mathrm{Pa}\)
2 ) 1L、0℃、\(5.0 \times 10^5 \mathrm{Pa}\)
まず、圧力が5倍になっているためヘンリーの法則から溶ける気体の物質量も5倍になる。
しかし、圧力が5倍になっているためボイルの法則から溶ける気体の体積は\(\frac{1}{5}\)になる。
その結果、結果的に同じ体積22mLとなる。
<式的解釈>
\(\mathrm{PV=nRT} \Leftrightarrow \mathrm{V=\displaystyle\frac{nRT}{P}}\)
ここで物質量\(n\)を5倍にして圧力を5倍にすると、
\(\mathrm{V’=\displaystyle\frac{5nRT}{5P}}=\mathrm{\displaystyle\frac{nRT}{P}}\)
よって\(\mathrm{V=V’}\)となるため体積はどちらの場合でも一緒であることがわかる。
- (3) 水素と酸素が1:3の物質量の比で混合された気体を1L飲みずに接触させて、0℃、\(1.0\times10^6\)Paに保ったとき、水素は何mol溶けるか。
-
水素の分圧は、
\(\mathrm{1.0 \times 10^6} \mathrm{Pa} \times \displaystyle\frac{1}{4}=2.5 \times 10^5 \mathrm{Pa}\)
なので、溶ける水素の物質量は、ヘンリーの法則より、
\(9.82 \times 10^{-4} \mathrm{mol} \times \displaystyle\frac{2.5 \times 10^5}{1.0 \times 10^5}=2.5 \times 10^{-3} \mathrm{mol} \)A. \( \mathrm{2.5 \times 10^{-3}mol} \)
まとめ
今回は、気体の溶解度の問題について解説してきました。
本記事の重要事項を下記にまとめました。復習に役立ててください!
- 気体の溶解度は、モル体積\(\mathrm{22.4 \, [L/mol]}\)で割ると物質量になる。
- 圧力のみが異なる場合、ヘンリーの法則を適用する。
- 体積が関係するときは、気体の状態方程式を使う。
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